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Der Untergang ヒトラー  ~最期の12日間~

今回は、『DER UNTERGANG』を鑑賞。 日本語タイトルは『ヒトラー/最後の12日間』。
ヨーロッパ戦線の終戦が近づくドイツで、次第に追い込まれていくヒトラーを描いた作品。

映画の特徴は、トラウドゥル・ユンゲという、ヒトラーの一人の私設秘書の話がベースなこと。この映画、本国では賛否両論らしい。当事者自身(ドイツ人たち)、”殺人鬼の人間性を映してどうなるものか”という意見や、”忘れたい事実を振り返る勇気は見るに値する”といった意見などがあり、真剣に戦争を見据えた映画だと感じた。監督はオリヴァー・ヒルシュビーゲル(『es』)。製作・脚本、ベルント・アイヒンガー(『DIE UNENDLICHE GESCHICHT』)。『DER HIMMEL UBER BERLIN』などで知られるブルーノ・ガンツがヒトラーを演じている。

まず、ブルーノ・ガンツの演技は絶賛に値するくらい凄いと思った。言葉の節々にヒトラーの雰囲気が出ていたし、実際パーキンソン病を患っていたヒトラーの雰囲気はとてもよく出ていた。

映画の観点は、ヒトラーのもっとも身近にいた秘書の話がベースなだけあって、否応なしにヒトラーの人間的側面に向いてしまう。そこには彼が行ってきた大罪や、ゲッベルズやヒムラーらのナチスが行ったことについては語られていない。ただ人間性を映し出すことで、視聴者は人の悩みや苦闘を心の美化とし、捉えることが多々ある。だが映画のバックグランドにある軸を観ないでモノゴトを判断するのは、本質を突いているとはいえない。

ゆえ終戦後に事の次第を知った秘書のユンゲは、後にこのことを恥じ、自分自身を許せないで一生を過した。

わたしもドイツに暮らした経験があるのだが、主に学校で言われることといえば演説の技術、当時彼の何が聴衆をそこまで魅了したのかといった事が授業で問われたりする(もちろん、歴史認識としての事実も含む)。また日常的な場でもヒトラーは、『怪物』とか『悪魔』・『最悪』といった見方でしかほとんど話されてはいないだろうか。しかし、マジメに答えを出さなければいけない時期には、真剣になって答えるのもドイツ国民の本質といえる。

たとえば、自分たちの過去の過ちを繰り返したり忘れないためにも、ドイツでは反戦デモなどが行動として行われることがよくある。(湾岸戦争の時は、Hauptbahnhof[街の中心の駅]などに昼夜問わず、人が集まったりしていた。)こういった行動をすることで、過去の戦争・ヒトラーの見方に対する当事者意識を常に持つことで、答えを見出そうとしているのではないだろうか。自分たちが当事者自身(ドイツ人たち)として責任ある立場だから、この映画には真剣に反対もすれば・賛成もするのだろう。

最後に、この映画はトラウドゥル・ユンゲの言葉に集約される。
「若さは無知の言い訳にはならない。しっかりと見据えていれば、それは気づけたはずです。」

映画もその国の国民レベルを表すバロメーターになりうるのだろうか。

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