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MILLION DOLLAR BABY

今回は銀座は丸の内TOEIで、16時20分の回の『MILLION DOLLAR BABY』を鑑賞。

実に切ない物語でした。とくに赤の他人から、序々にお互いの才能・負けない気持ち、といったところに惹かれあい、信頼しあうところに、向かう過程は、良く描かれており、感動しました。

監督は、この映画でも俳優として出演しているクリント・イーストウッド。この作品で、オスカーを受賞。F・X・テゥールの短編集「Rope Burns」(『テン・カウント』早川書房 刊)の短編を基にした作品。脚色をポール・ハギス(監督『クラッシュ』)が担当。この『MILLION DOLLAR BABY』で彼はオスカーにノミネートされている。

また、撮影監督には、イーストウッド作品でも『許されざる者(Unforgiven)』や『ミスティック・リバー(Mystic River)』でも一緒に仕事をしてるトム・スターン。それにイーストウッド映画には欠かせない、プロダクションデザイナーのヘンリー・バムステッドらが脇を固めている。「彼は高齢ながらも美術に関するセンスは、いまだ一流のモノを持っている」と、イーストウッドにいわせるだけある仕事が、今回の作品にも感じられる。また、役者の方も、オスカー女優のヒラリー・スワンク(主演『ボーイズ・ドント・クライ』)。彼女はこの作品でもオスカーを受賞。それにモーガン・フリーマン(『ショーシャンクの空に』)らが顔をそろえており、見る側に変な違和感を与えることない演技を披露している。

物語は、ロサンゼルスにあるボクシング・ジム”ヒット・ピット”から始まる。フランキー・ダンが経営するこのジムに、ミズーリの田舎から出てきたマギーという女性が現れる。彼女はボクシングが好きで、自分にもある唯一の才能を伸ばせるのは、フランキーしかいないと、ジムの門をたたくが、フランキーは彼女の言葉に耳を貸そうとはしない。「女性ボクサーはとらない!」と一蹴する。そんな言葉にも、彼女は引くことなく、ただひたすらジムに通い続け、ただ黙々と直向きに自分なりの努力をしつづけていた。ウェイトレスの仕事を掛け持ちしながら、トレーニングを欠かさないマギー。そんな彼女を影ながら見ていた、雑用係のスクラップは、マギーにボクシングを少なからず教え込む。古ぼけたスピードバックを彼女に渡し、これで練習するようスクラップは言うのだが。。。翌朝フランキーは自分の使いふるしのスピードバックがマギーに使われているのに、腹を立て、返すようマギーに迫る。さらに「31歳でバレリーナでも目指すのか?」と毒のある言葉を吐くが、マギーの直向きな気持ちを感じ取ったのか、「新しいのが買えるまで使え・・」と引き下がった。

ある日、フランキーは自分がマネージャーをしていたボクサーのタイトルマッチが掛かった一戦をテレビで見たあと、チーズバーガーを差し入れに、スクラップが住むジムに戻ってきた。ジムで居残り練習をするマギー。そんな彼女をみたフランキーは、年齢を問いただす。「32」とマギー。間一髪入れず彼女が切り出した。「13歳からウェイトレスをし続けて、また1年が過ぎたわ。知ってる?私の弟は刑務所。妹は不正に生活保護を受けている。父は死に、母は145キロのデブ。本当なら故郷へ帰って、中古トレーラーで暮らすべきなのよ。でもこれが楽しいの。だから年だなんて言わないで。」と。このときフランキーは彼女からボクシングを取ってしまったら、何も残らない人生になると悟った。すると、フランキーは言い放った。「何も質問はするな。泣き言は聞かん。」「Yes,Boss」とマギー。「モ・クシュラ」というリングネームを与えられたマギー。ここから彼らの、過酷な運命との戦いが始まる。

感想
イイ作品です。かなり後味の悪い評価にする論評を見ますが、私は良い終わり方だと思いました。また時がたってもそれほど時代感が出ない演出も好きです。脚本・ストーリー展開のバランス。役者の演技、無駄のないセリフ回し、カメラワークなど、どれをっても中だるみを感じさせる部分もなく、133分という時間ながら楽しく見ることが出来ました。ただ、これは、ボクシングの映画というよりも、ヒューマンドラマや、父と娘のドラマといった感の強い作品です。品性あるドラマ作りがうまいイーストウッド監督ですが、今回もかなり感情に訴えかけてくる部分が多く、キャラクターの心身で成長していく過程、またそこに行き着いたときの感動的な展開には、年齢を問わず観てもらえると思いました。


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WAR OF THE WORLDS

水曜日に六本木にて18時20分の回公演の『宇宙戦争』を観てきた。監督はスティーブン・スピルバーグ、主演トム・クルーズ。この二人は『マイノリティー・リポート』(02)でもコンビを組んでいる。人類は消滅するのか?スピルバーグが人間を襲うE.T.を描いたらどうなるか。

この作品はH・G・ウェルズが100年も前に書いた原作の映画化で、この話をもっとも有名にしたのは1938年10月30日、この題材を元に、オーソン・ウェルズがCBSラジオのハロウィンの余興として放送したラジオ番組だろう。全米を震撼させ、パニックに陥れた出来事。その後も52年に映画化、その他のさまざまなSF映画に影響を与えるなどSF映画としての期待も大きい。

制作にはスピルバーグ作品でお馴染のキャスリーン・ケネディ、コリン・ウィルソン(『ターミネーター3』・『トロイ』)。脚本にはデビット・コープ(『ジュラシック・パーク』・『スパイダーマン』)とジョシュ・フリードマン(『チェーン・リアクション』)。そのほかにも、音楽はジョン・ウィリアムス(『スターウォーズ/シスの復讐』)、編集にはマイケル・カーン(『シンドラーのリスト』)撮影はヤヌス・カミンスキー(『シンドラーのリスト』・『A.I..』)視覚効果にはデニス・ミューレン(『ハルク』・『A.I..』)やさらにナレーションにはモーガン・フリーマン(『ミリオンダラー・ベイビー』)などプロ中のプロが顔を連ねる。

物語
ニュージャージーに住むブルーカラーの労働者レイ・フェリアー(トム・クルーズ)は、離婚したマリー(ミランダ・オットー)から1ヶ月に一度だけ許された、子供たちの再会を楽しみに自宅に帰るところから始まる。いつもよりも強い風が吹き付ける中、息子ロビー(ジャスティン・チャットウィン)と娘レイチェル(ダコタ・ファニング)との再会を果たしたレイは、限られた時間なのだが、無造作に3人の時をすごしていた。外の風はより強く、しかも逆に竜巻のほうへと流れていく。電磁波がおかしいニュースが流れる中、町の車は動かなくなり、雷が同じところに26回も落ちていていた。恐怖と不振を感じたレイは雷が落ちた地点へと足を向ける。住民が集まるなか、地響きが序々に大きくなり、次第に建物は壊されるほどの地割れがおき始める。そして落雷で陥没した地面から出てきた”モノ”が、恐怖の始まりだった。

感想
リアルな演出に気を使った手法が、自分も中に入った感覚で映画を観れました。この映画には国防総省や大統領が出てきて「自由を勝ち取れ」といったことはありません。ただ、本当になったら自動車や移動手段は使えなくなったり、コミュニケーション手段はなくなるだろうと思います。安易に”核”を使用した演出もありません。
見る側にしてみたら、後味が薄い感じを受けるかもしれません。物語には、今、フランスではどうだとか、日本、ロシアでは。。。といった周りの状況が何も入ってこない分どのくらい人間は生きているのかといったことが、何もわからないからです。主観的な立場で描かれたこの作品は、レイ・フェアリーという人間の目で世界を見ています。リアルに描こうとすれば、見えるのは僕らのいる周りの状況だけ。。。生きていくしかない。子供たちを守る。といったことで手一杯になるのではないでしょうか。人が駆除されているシーンは、プライベートライアンのような、何か考えている暇をも与えない時間で、駆除されていくことで演出がされてました。

支配する側と支配される側。人間に出来ることは何もないという、驚きと恐怖と哀しみ、そこに、父親らしいことを一つもせず、家族とのかかわりに芯に思いを吹き込んでこなかった男の家族に対する愛。中だるみもせず、時間も程よく、楽しめる作品に仕上がっていて、飽きがこない作品だと感じました。

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